ちょっと一服 小噺百話/北の美味いをお届けする【北加伊堂】 | ||||||||||||||||
ランバート氏が死の床についていた。彼は夫人に言った。「私の財産は君に相続してもらうよ。ただし、一つ条件がある。私の喪があけしだい、スタック君と再婚してもらいたい」「まぁ、あの方と、でも何故なの」
ランバート氏は、不気味な笑いを浮かべて言った。 「あの男には随分ひどい目にあわされたからな」 3時間も遅れて出勤してきた新入社員のフェルナンドに課長が言った。「なぜ遅れたのか、理由をいいなさい」 「今朝起きて顔を洗おうと思ったら鏡に私の顔が映らないではありませんか、私はもう出勤したものと思って安心してもう1度寝たんです。しかし、1時間ほどして起きて鏡を見ると、鏡が下に落ちているではありませんか、元に戻して鏡を見ると私が映っているのでたいへんだと思って駆けつけたというわけです」 「面白い笑い話じゃないか」課長は感心して遅刻を許した。 あくる朝、フェルナンドはまた遅刻した。課長が理由を聞くとフェルナンドは昨日と同じ言い訳をした。 「同じ笑い話が2度通じると思うのか、お前はバカじゃないか」課長がカンカンになって怒ると、フェルナンドいわく 「バカなのは私じゃありません」。壁の釘穴がバカになっていたんです」 子持ちの男達がバーで一杯やりながら、打ち明け話をしていた。「ぼくのワイフは双子を生んだんだけど、実は妊娠してから”二人でお茶を”という本を愛読していたんだ。もしかしたら、そのせいじゃないかと思っているんだよ」 一人がいうと、もう一人がびっくりして話した。「そういえば、ぼくのワイフは”三銃士”を夢中で読んでたぜ。三つ子が生まれたのはそのせいかもしれないな」 すると、ちょうど妊娠中の妻を持つ三人目の男が、気になるという顔で自宅へ電話をかけに行った。が、なかなか戻らないので様子を見に行くと、電話ボックスの中で気絶していた。 やがて意識が戻ると、彼はいった。 「ワイフは”101匹の犬”という本を読んでいるっていうんだ」 ニュマ氏には4人の子どもがいた。上の3人は顔立ちも美しくよく似ていたが、末のひとりだけはガラリと印象が違っていた。妻の死期が近づいたとき、ニュマ氏は年来の疑問を問いただしてみようと思った。「お前、本当のことを教えておくれ、一番下のジャンはボクの子とじゃないのと違うかい」妻は、瀕死の息の下で答えた。 「心配しないで、ジャンだけはあなたの子です」 西部の町のバーに、スイング・ドアーを押し開きひとりの男が入ってきた。男はバーボンをくれっていいかけた、と、その時、ドアーをバーンと開けて飛びこんできた奴がいた。そして叫んだ。 「大変だ!大変だ!乱暴者のビック・マイクがやってくるぞ!」 ビック・マイクがくると聞いて、バーテンも、客も、叫んだ奴もみんな慌てて店から逃げだしていった。ひとり残った男がカウンターからバーボンのボトルを取って、チビリチビリ舐めていると、スイング・ドアをバンッとあけて、2メートル以上もある雲をつくような男が入ってきた。顔は夜のように真っ黒なひげで覆われている。 男は、ドスのきいた声で、「酒!」って怒鳴った。ひとりで飲んでいた男が棚にあった一番高そうなボトルを恐る恐る差し出すと、ボトルのネックのところをカウンターにガチャンとぶつけて割り、口をつけてグビリグビリと息つく間もなく飲み干してしまった。 男が驚いて、「もう一杯いかがで?」と訊くと、大男が、 「そんなにゆっくりやってられるか。ビック・マイクがやってくるぞ!」 捕鯨船の船長が、2年間家を留守にしたあとで家に帰ってきたら、妻が、生まれて3ヶ月になる赤ん坊を抱いていた。 「相手はだれだ!」彼は怒鳴った。「おれの友達のスヴェンか?」「違うわ」「それじゃ、きっとビルゲルだな、あのならずものの」 「違うわ」「スヴェンでもビルゲルでもないとすれば、われわれの常連仲間のエーリクしか考えられないな・・・・・・・正直に白状しろ、おれの友達のエーリクか?」、 「おれの友達、おれの友達ってばかり言って」、と、そのとき妻が怒鳴って大声をあげた。 「このわたしには友達がいないって思っているの?」 いつになくひどい旱魃の年でした。もう何ヶ月も雨が降りません。村人達は思い余って、さる高名な祈祷師をよんで雨乞いをすることにしました。 祈祷師がきました。村長以下、村人は総出で遠まわしに祈祷師を囲み、雨乞いの儀式が始まるのを待ちました。 と、祈祷師がするどい目線でしばし周りを見渡した後、村長を呼んで話を始めました。その内、次第に激昂し、すごい剣幕でまくし立てるや道具を纏めてさっさと帰ってしまいました。 何が起こったのか、村人達にはさっぱり分かりません。村長に事の次第を訊ねると、村長は憮然たる面持ちで、 「プライドを傷つけられたんだと、おれ達の内誰一人として、傘をもってきとらんちゅうてのう・・・・・・・」 パリの宝石店に入った強盗があとを追わせないように、うまい方法を思いついた。二人の女店員にピストルを突きつけて、有無を言わせず一糸まとわぬぬヌードにさせたのである。 5分後に警察が到着した。警部は、衣類を少しだけ身にまとった若い女と中年の女をちらちら見やった。 「マダム、あなたが服を着ないで往来へ駆け出さなかったのは・・・・」警官はいった。「まぁ、もっともな事かもしれません、だがお嬢さん!あなたは公共の安寧と店主のためにそれくらいの犠牲を払って、強盗をせめて次ぎの町角ぐらいまで追跡してくださってもよかったでしょうに!」 「あら、そんなことしても意味あるかしら、警部さん」と、彼女はプラススのボタンをはめながら小生意気な口をきいた。 「あたしが往来へ駆け出したら、だれも犯人の人相なんか見ちゃいないでしょうに」 嵐にあって船が難破し、羊とシェパードとともに救命ボートに乗り移ったフェルナンデスは、かろうじて無人島にたどり着いた。 しばらくして島の生活になれてくると、フェルナンデスは何やらもよおしてきた。羊と一戦交わりたいものと近づくのだが、その度にシェパードが激しく吠え立てて邪魔をする。 そんな時、若くて美しい女性が息も絶え絶えに島に流れ着いた。 フェルナンデスの懸命の看護で命を取りとめ、やがて元気になった。そしていった。「フェルナンデス、あなたは命の恩人です。あなたの為なら何でもします。おっしゃってください」 フェルナンデスは、「じゃ、わるいけど、シェパードを連れて散歩にいってくれないか」 フランク・シナトラ親分が、ミア・ファーローに惚れて毎日連れ出しちゃ口説いていたころ、やっとOKさせて一発やって、ご機嫌でスキップしながら馴染みのバーへやってきた。 先客たちは天下のシナトラ親分が入ってきもんで、それとなく注視している。シナトラ親分、それを意識しながらカウンターに近寄ると、バーテンに向かって「いつもの・・・・・・」と注文する。 バーテンダーは黙ったまま微かにうなづいて、キリキリに冷えたマーティニ・グラスにキリキリに冷えた、ドライ・マーティニをつくって入れ、カウンターの上をスッと押してよこす。 シナトラ親分、それを一気にぐっとあおって「もう一杯(セイムアゲイン)」、そうやって三杯飲むと、周囲の目をためすかのように、グラスをバリバリ食べてしまった。そして、食べ残したステム(柄)の部分を灰皿の上に置いた。 すると、シナトラ親分の隣でジャック・ダニエルのロックを啜っていた刑事コロンボみたいな男が、「旦那」と声をかけてきた。 「何だね?」と答えながら、シナトラ親分、そらきたと思った。何でグラスを食うのかって、訊かれるんだろうってわけ。 そしたら、コロンボがーーーー「旦那ね、グラスはステムのところが一番うまいんですがね・・・・・・・」 モスクワの酒場で、ズルコフは酔っ払って仲間と口論になった。そして、つい「スターリンはバカだ」と叫んでしまった。 ほどなくKGBが来て、ズルコフは逮捕され、裁判にかけられて10年の刑を申し渡された。 納得がいかない。「どうして10年なんですか」ズルコフは裁判長にいった。 裁判長はおもむろに口を開いて、「国家元首、誹謗の罪で3年じゃ」「で、あとの7年は」 「国家機密漏洩の罪じゃ」 |
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